三井住友トラスト基礎研究所は、2003年12月より、不動産私募ファンドを組成・運用している企業へのアンケート調査、ヒアリングおよび各種公表データや報道資料に基づいて、不動産私募ファンドの市場規模やファンド組成動向などを公表しています。

2024年12月末時点の市場規模

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<不動産私募ファンドの市場規模は、私募REIT・グローバルファンドを含めて40.8兆円と推計>
 2024年12月末時点の不動産私募ファンド(私募REIT・グローバルファンド含む)の市場規模(運用資産額ベース)を40.8兆円と推計した。この数値は、ARESが把握している国内私募REITおよびSMTRIが把握しているグローバルファンド(※)の国内不動産運用資産額を含めている。前回調査の運用資産額(2024年6月末時点:38.6兆円)から約2.2兆円増加し、増加率は前回の+10.1%から今回+5.7%へと減速した。ただし、運用資産規模を拡大させた運用会社数は、規模を縮小した運用会社数を引き続き上回っており、運用資産規模の拡大は継続している。
 2024年下半期は、7月の日銀による利上げがややサプライズを持って受け止められるなど、資本市場が不安定となる場面がみられた。しかし、不動産市場において大きな変調は観測されておらず、不動産取引量およびキャップレートは堅調に推移している。国内投資家の姿勢に大きな変化がないことに加え、海外投資家はアジア圏を中心に日本の不動産への投資を積極化する姿勢がみられ、国内外の投資資金により不動産投資市場が下支えされている。ファンドのLTV上昇傾向は気がかりであるものの、デット資金調達環境にも今のところ大きな変化はない。また、投資姿勢に大きな変化はないものの、一部の投資家からはバリューアッド戦略を求める声もあり、今後の金利上昇・インフレ懸念を背景に投資の質的な変化は進んでいる様子である。今後の金利動向次第で投資方針の変更を検討する姿勢を示す運用会社が一定数にのぼることにも留意が必要である。 
(※)グローバルファンド・・・日本以外の国も投資対象とするファンドとして当社が定義

<エクイティ投資意欲は概ね堅調。日銀の金融政策転換および建築費高騰の影響は限定的だが、 今後の動向には注視が必要。>
 資金調達環境と不動産取引状況をまとめると、7月の日銀による利上げを経て、一部のエクイティ投資家に慎重姿勢がみられるものの、日本への投資を積極化させている海外投資家も目立ち、デット調達環境には特段変化がないとする回答が多い。現段階では金融政策の変更による影響は軽微であり、エクイティ・デット共に概ね良好な資金調達環境が継続している。不動産ファンド運用会社による不動産取引についても、近年の調査との比較では水準に大きな変化はない。
 日銀の金融政策転換による金利先高観等による投資方針への変化に関する質問では、「変化があった」とする回答は17%にとどまり、「変化がなかったし、今後も当面ない」が46%で最多となった。また、投資方針の変化はなかったが「今後の金利水準によっては投資方針変更を検討する」とする回答が37%となり、「投資方針変更を検討する」目安の長期金利水準は「1.5%」が最多であった。本調査の実施期間の長期金利は1.2%前後で推移していたものの、2025年3月現在、長期金利は1.5%を超える水準となっており、投資家の投資方針の変化に留意すべきである。
 建築費高騰による投資方針への変化に関する質問では、「変化があった」とする回答は26%となり、「変化がなかったし、今後も当面ない」は46%で最多となった。ただし、投資方針の変化はなかったが「今後の建築費高騰によっては投資方針変更を検討する」とする回答が28%となり、今後の建築費次第で変更を検討する姿勢を示す運用会社も一定数にのぼる。

より詳細な資料はこちら

「不動産私募ファンドに関する実態調査 ~2025年1月 調査結果~」(PDF:2.2MB)
─ 不動産私募ファンドの市場規模を私募REIT・グローバルファンドを含めて40.8兆円と推計

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