REIT投資顧問部 上席主任研究員
堀 明希子
J-REITの賃貸EPS - セクター別の違いと今後の成長の鍵
要約・概要
- J-REITの2024年下期の不動産売却益は過去最大で、売却益還元の積極化が分配金成長に寄与している。分配金のベースとなる売却益影響を除いた賃貸EPSの動きは見えづらくなっているが、分配金だけでなく、賃貸EPSもプレミアム増資やLTV活用で全体としては2019年の水準を上回っている。
- ただし、賃貸EPSの回復度合いは、賃貸市況や賃貸借スキーム、プレミアム増資やLTV活用といった財務運営の違いが影響して、セクターや銘柄によって異なる。また、今後の賃貸EPSの成長は負債コスト増加を上回る賃料増加を実現できるかが鍵となり、その実現可能性はレントギャップを活かした積極的な賃料交渉等で賃料増額を幅広く実現できるか、分散された返済期限や固定金利中心のデット調達で金利上昇への耐性が高いかなど、各銘柄の状況に応じて異なってくるだろう。