国際情勢の変化がもたらすインバウンド需要減少リスク
~国籍別動向から見た商業施設・ホテルへの影響~

投資調査部 研究員   岩田 紗希

要約・概要

  • インバウンド市場は回復基調にある一方、国際情勢の変化による下振れリスクが高まっている
    2025年には訪日外客数・消費額が過去最高を更新したが、日中関係の悪化やイラン情勢の緊迫化を背景に、今後の減少リスクが懸念される。
  • リスクを正確に把握するには、訪日客全体ではなく国籍別の傾向を分析することが重要
    訪日客の国籍・地域ごとに訪問先や消費行動が異なるため、訪日外客数や消費額の総量だけでは、商業施設やホテルへの影響を十分に把握できない。そこで本稿では、国籍別に訪問先や消費費目の違いを整理した上で、国際情勢の影響を考察する。
  • 国際情勢の変化による消費額への影響は、一部の商業施設では大きくなり易く、ホテルでは総じて小さい
    買物における品目選好や支出水準は国籍・地域ごとに大きく異なるため、特定の国籍・地域からの訪日客に依存する商業施設では、代替需要が乏しく影響が大きくなりやすい。一方で、宿泊需要は他国からの訪日客や日本人客によって補填可能なため、ホテルへの影響は比較的小さいとみている。
  • イラン情勢の訪日客数への影響については、現時点では限定的とみている
    アジアの海外旅行者は欧米・中東渡航自粛による訪日代替需要が見込まれること、欧米豪客は訪日旅行における旅費水準が高く価格感応度が低いことから、現状では訪日需要が大きく減少する可能性は低いとみている。

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岩田 紗希

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